理系は就職活動で有利!?理系の就活事情
この章では理系のおいて、理系学部生は文系の学生と比較して本当に就活で有利なのかについて解説していきます。
理系と文系の就職率は変わらない
まず理系学部生の就職率は良いのか確認するために文系との差分を見ていきましょう。
しかし、理系と文系の専門性はそれぞれに活かされる場所があるため、一概に優位性を比較できるものではありません。
実際、就職率のデータをみてもあまり差がありません。
令和2年度(令和3年3月大学等卒業者)の厚生労働省の調査*¹によると、「文系の就職率は96.0%(前年同期比1.8ポイント低下)、理系の就職率は95.9%(同2.6ポイント低下)」とあります。結果は文系の方が上回っていますが、その差は0.1ポイントしかありません。
そのため、「理系だから有利」みたいなものは無いと言えるでしょう。
年収は理系の方が高い傾向にある
前節で「理系だから文系より就職しやすい」わけではないと解説してきました。
しかし、世の学生のイメージとして、「理系卒の方が、就職活動で有利で高い年収をもらっている」という印象があると思います。
2011年3月に独立行政法人経済産業研究所の調査によると、平均年収は、文系出身者の平均年収/559万200円で、理系出身者の平均年収/600万9900円と、理系卒の学生の年収は文系よりも大きく高いものであった。
そのため、就職率こそ同じものの理系の学部生は文系の学生と比較して、年収が良い仕事につける可能性が高いと言えるでしょう。
理系学部生に人気な業種・職種
次に理系の学部別の人気な業種や職種事情についてご紹介していきます。具体的に人気な職種や業種を知ることでこれから就職活動を行う上での参考にしてください。
①工学部
工学部の学生に人気の就職先は、電気機器メーカーや自動車メーカーです。
工学部では、電子機器の設計など日常生活で応用される研究をしていた学生が多いこともあり、学生時代学んだことを活かせる電子機器メーカーや自動車メーカーなど機械に関する業界が人気になっています。
また、ある特定の1分野のみを追求する研究とは異なり、多岐にわたる業務に携われることが人気の理由となっています。
工学部はモノづくりに関わる学問を学ぶ学部ですので、専門的な知識・技術を修得することになるため、下記の業界や職種では、貴重な人材として重宝されるでしょう。
おすすめ業界 | 自動車・輸送機器 / 電機・機械 / 鉄鋼 / エネルギー / 医薬・食品 / IT |
おすすめ職種 | 設計、開発、機械系エンジニア / 品質管理、生産管理 / 自動車、航空整備士 |
建築学部
建築学部の学部生に人気な就職先はデベロッパーやハウスメーカー・不動産会社などが挙げられます。
建築学部では、建物の設計を勉強していたこともあり建築学科での知識や経験を活かせるのはやはり建設業界です。
そのため、建設業界では自分の強みを活かしながら楽しく働けるだけではなく、日々の学びを高く評価してもらえ、結果として就職活動が有利になる傾向があります。
おすすめ業界 | 建設業界・不動産業界 |
おすすめ職種 | 建設施工管理 / インテリアデザイナー / 設計士 / デベロッパー |
農学部
社会全体として食や健康、環境に対する意識が高まっており、自分もそれらに興味がある!といって農学部を選択した方も多くいます。
そのため、食品業界や製薬業界などの業界が人気の傾向があるようです。しかし、製薬や食品メーカーのような「人の健康」に関係する分野では、高い研究技量が求められるため学部生の研究職採用が盛んに行われていないのが現実です。
もし上記の業界の研究職を狙っている場合は、大学院進学を視野に入れても良いかもしれません。
おすすめ業界 | 食品・化粧品・製薬・科学技術メーカー |
おすすめ職種 | 研究職・商品開発・営業・品質管理職・製造技術職 |
理学部
次に理学部を紹介してきます。理学部は工学部と比較されることが多く、「就活があまり強くない」といったイメージを持つ方も多いと思います。
実際に理学は「理論の学問」であるのに対し、工学は「実践の学問」であるため、就活マーケットでも工学部生は高い需要があります。
しかし、だからと言って理学が非実践的であり、理学部生が就職に不利というわけではありません。実際に学部生就活の場合、自分の専門と違う企業に就職するケースも多いです。
そのため、理論を勉強している地頭力が高い理学部生は不利にならないケースも多いです。
おすすめ業界 | 食品・化粧品・製薬・科学技術メーカー・教育・保険 |
おすすめ職種 | アクチュアリー・クオンツ・商品開発・営業・品質管理職・製造技術職 |
理系学生が本当に行きたい23卒の人気企業は?
ここまでは、一般的に理系学部生が有利に働く企業をご紹介しました。ここからは実際に就職活動をしていた理系学部生がいきたいと思った企業を紹介していきます。
実際に、理系が選ぶ人気企業ランキングはキャリタス就活の調査から以下の結果になっています。やはり工学部に人気の自動車産業やIT業界が人気のようです
<参考:キャリタス就活>
学部卒で理系就職するメリット・デメリット
最後に院卒ではなく学部卒で就職活動を行うメリットとデメリットについて解説していきます。
実際に、このまま学部で就職活動を行うかどうか迷っている方は必見です。
学部で理系就職するメリット
まず先に学部で理系就職するメリットについて解説していきます。大学院卒からみて理系で学部就活していればよかったな思うメリットを説明してきます。
院卒よりも早く仕事を始められる
1つ目のメリットは大学院生と比較して最低でも2年先に始められることです。専攻と直結するような職に就職しなかった場合、学部生で就職した方が有利になることが多いです。
なぜなら、その仕事には専門知識は要らないので、先に働き始めて社会人としてのノウハウを身につけた方が最終的に高い年収を得られることが多いからです。
そのため、理系だけど文系職に就く予定な人は学部で就職してしまうのがおすすめです。
ポテンシャル評価している企業に対して高評価
2つ目のメリットは、ポテンシャル評価を重要視している企業にとって高評価だからです。
新卒採用では、即戦力である中途採用と比較して、まだ仕事に対してクセがついていない純粋無垢で伸び盛りな学生を高く評価する文化があります。
大学院卒ではどちらかというと即戦力寄りの人材であるため、コストが高くつきます。そのため、ポテンシャル採用を最重要視している企業にとってはそこまで評価が高い人材になり得ません。
学部で理系就職するデメリット
次に学部で理系就職するデメリットについて解説していきます。大学院卒からみて理系で学部就活しなくてよかったなと思うメリットを説明してきます。
特定の職種では不利になってしまい、通過が難しい
1つ目のデメリットは、大学院生と比較して、理系学部生は「理系職種の就活に弱い」という点が挙げられます。
研究開発職など、実際にお客様に提供する商品を作る職種では高い技能が求められます。そのため、研究を1年程度しかしていない学部生は門前払いを受ける可能性が高いです。
特に製薬会社の研究職などでは募集要項に博士号取得予定者のみなど厳しい条件が付けられている場合がほとんどです。
学校推薦がほとんど受けれない
もう一つのデメリットは、学校からの推薦が受けれないということです。大学ごとに企業とパイプを持っており、大学院生などは簡単な面接1回で就職できたりします。
しかし、学部生は教授との関わりが薄いだけではなく、技術的にも大学院生と劣っていることで学校推薦をもらえる可能性はかなり低いです。
そのため、楽に就活をしたい!などであれば大学院進学も可能性の一つとしてあります。